2018-04-08

【 楽尚さんの革 縫い体験 】



昨日は「革職人のアトリエショップ 楽尚 の出張展示販売」の特別企画
革縫い体験の日でした。

ゆいまーる沖縄本店では、革製品を扱うのが初めてで
体験ワークショップも
私たちも楽尚さんも初めての取り組みでした。

トップの写真は参加者さんの作業の様子。
足踏み腕ミシンでご自分の名刺入れ縫っているところです。


楽尚の林さんの導きのもと、革にゆっくり糸を這わせます。

足踏み腕ミシンはずっしりとしてレトロな雰囲気。

「足踏みミシンは、昔おばぁが持っていた」

というお客様が何名かいらっしゃいました。



わたくし嘉陽も、祖父母の家で過ごすときに

祖母の足踏みミシンの足元のところに入り込んで、

ゆりかごみたいに揺らして遊んでいたことを思い出しました。

あの時はまだ4~5歳くらいで、

ミシンの足元の空間のところにすっぽり収まって

気がすむまでひたすら揺れて遊んだ記憶があります。



幼い記憶の中では

足踏みミシンが縫うことに使われる場面は見れませんでしたが

今なお足踏みミシンを使って

電機音の無い優しい音で

縫いをしている職人さんがいるなんて、素敵ですね。




さて実際の体験のほうは。




印鑑ケース、ペンケース、iphoneケースなど

いろいろなサイズの端切れから1つ選んで作成します。

縫い付けが終わったら、エンボス加工や穴あけで装飾



ご夫婦で参加された方もいて

共同作業で進めています。

革に飾り穴をあけているところ。


ご自分の誕生日にということで

こだわりの名刺入れを作成した方も。


今回は四角い端切れを活用したワークショップでしたが

参加者さんたちの様子を見ていると

工夫やこだわりが想像を超えます。

次の企画をどんなふうにしようか。

楽尚の林さんとさっそく相談中です。


次の企画を、ぜひお楽しみに。


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沖縄県島尻郡南風原町宮平652番地
------------------------------------------------ 店長 嘉陽 -----------


2018-04-01

【 沖縄の染物や織物のこと:事業調査報告会①質疑応答 】



去った2018年3月9日

ゆいまーる沖縄は染織物の調査事業について

報告会を実施しました



事業の正式名称は

平成29 年度知財活用による商品開発主導型の産業振興モデル構築に向けた調査事業

(地域団体商標を取得した伝統的工芸品(染織物)ブランド構築促進支援)

です



おもな内容としては、沖縄の染織物の流通の実態についてです

生産量や生産額、生産者数の推移

流通価格や、流通の仕組み、新しい流通の事例

現状の課題と、それに対する今後必要な動き

そういった報告と提案が主な内容でした



前半は代表鈴木からの報告

後半は、調査事業などを通して出会った

素晴らしい方々をゲストにパネルディスカッション


山梨県産業技術センター 繊維技術部 主任研究員 五十嵐哲也氏


山本きもの工房株式会社 代表 山本秀司氏


丸正織物工房 大城幸司氏


限られた時間の中で

多くの大切なことを語ってくださいました

今回のブログでは、まず

会の最後にあった質疑応答の部分を掲載します

会場からの質問と、それに対するゲストの回答です



質問1:沖縄の染織りを生地として世界へ輸出することの可能性についてどう思うか。

回答1:五十嵐氏
元々日本の織物は海外に輸出して資金を稼ぐ産業だった。山梨もかつては問屋を介して多く輸出をしていた。特にオイルショック以降は無くなっていく。今はそれが再び復活し、直接取引している。アジア諸国にも門戸が開いたのが4年前。それを機会に進出し、オリジナリティを発揮するようになっている。今までの和服を販売するだけよりも、可能性は広がる。

回答1:事務局
小倉織は海外展開をしている。築城さんという方の手織りのデザインを機械織りに反映している。広幅にして現地に対応している。何度か海外出展をして現在の取引をつかんでいる。



質問2:ひとりで仕事の広がりを持つ、生産性を上げるにはどのようなやり方があるか。

回答2:大城氏
現場を見ていないのでわからないが。自分の例をいえば、最近やっと自分の好きなものが作れるようになった。当初は利益が小さいものも地道に作っていた。儲からない商品がうちの主力でもある。カベは全然利益率が悪いけれども、そこを大事にしているところはある。日本全国にはここにしかないカベ生地だから。そうすると、これを目当てに来てくれた方が他も選んでくれたりする。

回答2:事務局
月収入5万〜6万だった個人経営の工房さんがいた。でも出荷単価を2倍にしたことで、収入が2~2.5倍になり、収入が増えて時間の余裕も生まれて、今では1人雇って存続している。出荷単価を上げるのは、今回の調査を通しても必須事項ではないかと現時点では考える。



***ここからは会場の雰囲気をお伝えしたく、お話をなるべくそのまま文字に起こしています***



質問3:お客様を喜ばせるというのはどういうことか。具体例を教えてほしい。

回答3:山本氏
格言に、目の前の一人というのがある。とかく、ビジョンを大きくしたり目標数字などを立てると、そこに向かっていろいろなものが雑になりやすい。ですが僕がやっている仕事というのは、どんな人でも目の前に現れたら、今の自分の全力をその人に注ぎます。他のこと一切考えません。とにかくその人に寄り添う。なんでも聞いてあげる。で、先生とか社長とかいろいろ言われたりするんですが、時間などを惜しまず、とにかくこの人は何を求めてて何をしてほしいのかということをとことん聞きます。そうしてものづくりに入って行くんですね、そうすると、結果的にお客さんのことがよく入っていきますから、オリジナル性であったり、希少性であったり、デザイン性ですね。価格も研究していけば抑えられるかもわからない。とにかく、その人に自分のエゴを出さずに、地道に誠心誠意やっていけばですね、そんな技法を考えることなく、非常に喜ばれるんですね。こんなこと、経験したことがないくらい喜んでもらえますから、これはリピートになります。ですから、手法考えずに、そういうことをまず第一にやっていったほうが簡単です。


質問4:生産者、業界の関係者の思いやビジョンをもの語れる場はどうやって作っていけるか。

回答4:五十嵐氏
今日話した2事例の他に、ブログをやっています。お役所でブログを、特に試験場でやっているところはあまりないと思う。それはものがたれるかというのは、私が代弁して作り手さんたちはこんな考えであることなどを発信できると。それをブログという形で。もう一つは、産地訪問バスツアーというのを、もうかれこれ7年間やっています。東京新宿からバスで1時間半くらいなんですが、これ新宿まで迎えに行って、でバスの中でちょっと産地のお話をしながら。で、やはり機屋さんが一番力を発揮できるのは生産の現場なので、その現場の魅力と合わせて、ここ僕がこうやっているというのを語るのが一番伝わると思うので。

鈴木)バスツアー、年3回。思いとか語ってもらって、あとはどういうプログラムなんですか。
五十嵐)販売して
鈴木)懇親会、飲み会
五十嵐)も、開催して。笑
鈴木)なるほど。笑
五十嵐)山梨大好きになって帰ってもらう。
鈴木)ま来てもらうってことですね、もう。
五十嵐)はい。
小売店さんもいれば、百貨店さんの企画の方がいたり。各工房をまわって、思いとかいろいろ語ってもらって。飲み会もして、大好きになって帰ってもらう。来てもらうということ。

回答4:大城氏
NUNUSAAAは月1スカイプ会議があり、その会議のあとに食事行こうかとかやるんですけど。僕が最初入って、ん、と思ったのは横のつながりがなかったんですよ。近くの先輩から先に飲みに行きましょうよって誘って、少しずつ増やしていろんな人と意見交換しながら、できるのはやってて。若手って言われているメンバーで、自分たちでやるんだくらいの覚悟を、僕ら持っとかないといけないよねーっていう、足りないものを覚悟なんだろうなみたいな話をする場ってけっこう、月1で飲んだりという場はありますし。
さっきのツアーの話でいうと、最初売れないねーっていうときに、何もアクションしなかったんじゃなくて、絣ロードいうのが南風原はあったので、じゃあ作っている現場を見てもらおうと思って。絣ロードツアーというのを企画して、最初は絣ロード盛り上げ隊というのを結成したんですよね。それで最初は清掃して、それ、それで観光協会が立ち上がって、工房ツアーというのを組んでもらって、かれこれもう5年くらいなるんですけど、まぁそこでツアーに来てくれた方と縁が繋がってお仕事に発展したということもありますし、やっぱりこういう場っていうのは必要なのかなぁというか。僕らが行くというのもあるんですけど、実際この現場のほうが感じ取ってもらえるかなというふうには思います。

回答とやりとり
鈴木)私も参加しましたけど、絣ロードツアー。長く継続してやられて、地元に活動やられていますよね。
大城)明日明後日も清掃なんですよ。
会場)笑
大城)もう草取りとかあります。
鈴木)でもそういう積み重ねがこうやって。
大城)そうですね。この経験はすごく大きくて、本当にできることからまずやっていくことが大事かなっていう。
鈴木)もちろんあの、発信するということもあって。大事なのは来てもらうというところ、は外だけではなくて内側ですよね。身内同士で、こう、思いとかビジョンを、中で語り合うというのは大事だなと思いましたね。

質問5:新たな流通形態を考えればいいのか。製造そのものの魅力が必要なのではないか。作るものの魅力が必要なのではないか。

回答5:山本氏
魅力ですね、そうですね。魅力。やはりその、ユーザーとつながったときに、その人を、先ほどの喜ばせること繋がるのかと思うんですが、私の仕事はハサミを入れる仕事です。ですからやはり、どんな布も、皆さんが本当に魂を込めて作った布もありますが、私もそれできる。縫うということでできるんですね。その方のサイズにきっちり仕立て行くということがそれになるわけですが。そういう中で1つの事例で、はい。これはですね芭蕉布なんですが、電話がございまして、確かに喜如嘉で織ったおばぁのものであるということもわかっているし、ただ、それが亡くなったあとに出て来た。どうにかこれをしていきたいんだけども、むやみになんか小さいものに切り刻んでしまうとか、そういうことはしたくないんだ。どうかこの生地を見てくれないかということでご連絡を頂きました。そういう中で、じゃあもうこれはね流通させられない。短い。確かこれは1.5Mから2M弱だったと思います。袋物とかどう?とか言われたときに、いやいや、それではもったいない。価値を成すためにはやはり、これをなんとか頑張って帯にすると、いうところで、これは無地のところでもこれは芭蕉布の色に合わせてうちのほうで、もとは生成りのものを染めました。染めて、帯を締めたときには完全にその部分が出ないような位置を考えました。ほんとギリギリでしたけれども、そういう、一見したら芭蕉の帯を巻いているようにしか見えないという帯を、この時作り上げました。そうしたときに、やはりその魅力、織った人のそのダメになって、財布とかそういうのにって思っていたものがこういうものに作り変われるというのも魅力だと思いますし、実際これはうちで責任持ってこの生地は買い上げて、仕立て上げた状態のほうがお客様が持って行きやすいだろうということで、もう仕立て上げてしまいました。そしたらやはり、あっという間に旅立って行きました。まぁその価格設定は、さっきもお話した流通を壊さない価格設定をちゃんと設定して、これを作った経緯も、そのバックボーンを説明できるわけですね。ユーザーが近いということは。ですから、皆さんの作られたものが欲しい方に、自分のバックボーンも語れるし、そういうことも魅力につながっていきますが、喜ばせることにもつながっていくと、いうことだと思います。それと、私のとこによく相談があるのが、どうしても検査が厳しい、そういうことであの流出させないとうことになってしまったという反物があるんですが、それも訳ありということでね、怖いのは流通させたときにどこにいくかわからないと。そんなときにじゃあ私のところでハサミを入れるということはそこで流通が止まるわけだから、仕立て上りということで、これを小物にするんではなくて、着れるもの、お客様が纏えるものにして、それを僕が口頭でこういうものです、全部口頭で説明をしますし、仕立て上がったらそういうところはわからないところに入れる。もしくは織り段などでしたら、たとえば先ほど幸司さんに言ってびっくりされたんですが、すごい織り段があったらそれを見えないところにも持って行きますけど、うちはもっとやるとですね、それをお組みの見えるところに持ってくるんです。ドカーンと。その織り段をですね。そうすると、お組みの反対側が襟ですから、その襟の一番目立つところにその織り段がくるんです。そすると、他の小さい織り段をうわ前の身頃に持ってきたりします。そうすると、もう不流通、できなかったものが、付け下げになっちゃうんですよ。影絵羽にして。そうやってハサミをいれて、諦めていた布というのにも、やはりそういった技法でですね、いろいろなもの吹き込んでお客様に喜んでもらえるように頑張ると。ですから、いろんな技法を皆さん知っていただくと、そういったものを生かせる技術があるということですね。これをやはり提言して、エンドユーザーと触れ合う機会も大事だと思いますし、技術を高めて、いいもの作って、先ほどの単価とかそういったものを上げていっていただけたらなと思います。



今回のブログは以上です。

続きはまた次回。

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沖縄県島尻郡南風原町宮平652番地
------------------------------------------------ 店長 嘉陽 -----------