2017-07-05

【 沖縄の錫 】


沖縄にも錫工芸が存在していたことをご存知でしょうか。
琉球王府の時代から300年以上もの歴史があり、
主に行事の祭祀道具として用いられていました。

金細工・銀細工などの職人「クガニゼーク」という言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、
「シルカニゼーク」と呼ばれた錫職人もいたのです。

琉球では産出されないのでマラッカなどから貿易で仕入れられていた錫は、
貿易品としてだけでなく、船を安定させるための重しとしても役立っていたそうです。

ゆいまーる沖縄本店<Storage & Lab.>に展示してある
漆塗の湯庫(タークー)と中に入れる錫製の湯桶。
外出用に湯や茶を入れて持ち運ぶものとして使われていました。
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錫の特徴の一つが柔らかいということ。
レジカウンターに置いてある錫製のキャッシュトレー
お子さんに曲げてみてと声をかけると
最初はおそるおそるといった様子で触っていますが、
柔らかいことがわかると、楽しそうにいろんな形に曲げてみせてくれます。

多くの人に触れられて、初めはまっすぐだったものが今では波を打ったような形に。
人の手によって少しずつ形が変わっていくのも面白いですね。
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錫の商品の一つ、沖縄の砂(ニービ)で型を作り流し込んだ小粒皿は
薄いのでより柔らかく、角を少し立ち上げたりとお好みの形でお使いいただけます。
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沖縄らしい形のブローチもあります。
星型は琉球王府時代の男性用かんざし「髪差(かみさし)」、もう一つは「蝶形骨器」を
モチーフにしたもの。蝶型骨器は沖縄の縄文時代の人々によって作られたもので、
ニライカナイの使者「蝶」を写した装身具だと推測されています。
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約100年前にに途絶えてしまった錫工芸ですが、
何とか復興させようとする職人さんがいます。

その職人さんは、金細工まつの上原俊展氏。
学生の頃から美術やデザインの感性を磨き、金属工芸に魅せられ
途絶えてしまった沖縄の錫工芸を研究しながら、
新しく美しい錫器を次々に生み出しています。
工房の名は沖縄生まれの祖父、上原松からもらい名づけられました。

錫の作品制作や文化財の復元を行いながら
錫をたくさんの人に知ってもらおうと、不定期にワークショップも行っています。

実は沖縄でも長い歴史のある錫
ぜひ直に見て触れて、その美しさ、柔らかさを感じて下さい。

(西谷)
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