去った8月の末、ゆいまーる沖縄 本店<Storage & Lab.>では「クバの新芽で作るカゴ」のワークショップを行いました。
講師は伊平屋島から、工房種水土花の是枝さん。
初日は敷物をひいて輪になって、和気あいあいとカゴ作りスタートです。
少しだけ店内のご紹介をすると、8月末の一週間は「ゆいまーる沖縄の民具 な 一週間」と題してたくさんの民具を飾っていました。
ゆいまーる沖縄は1988年に創業して、最初は食品の取り扱いメインでスタートしましたが物産展などのブースで昔ながらの民具を飾ったところ、「懐かしい〜!」と多くのお客様が喜んでくださり、商品としても取り扱うように。それもあって、何年も前に仕入れさせて頂いた民具もまざっています。
こちらは特大のクバ笠に、アダンの葉を泥染めした蓑。モデルはスタッフ西谷です。
クバ笠は、かぶったときに頭の上の空間が密閉されないのでとても涼しくて、軽い。
蓑(みの)は、雨よけや日よけに使われます。雨が降っても、細長い素材の上をつたって雨水は先端まで滴り落ちていくので、体は濡れにくい。しかも通気性抜群です。
アダン葉の帽子。伊江島にいらっしゃった、おばあちゃん職人さんの品です。
目がとても細かくて、丈夫。
クージカゴ。竹富島でクージと呼ばれる「トウヅルモドキ」という植物でできています。
底面には4箇所の重点があって、安定感抜群。
定番の指ハブ。石垣島のおばぁちゃんが作ってくださっていて、マーニ(クロツグ)でできています。
他にも、月桃の縄、浮き玉、マーニ(クロツグ)の馬ぐゎー、わらびカゴ、クバ扇、ソテツの魚、すすきのホウキ、アダン縄の巾着などなど飾っていました。
さて、今回その民具な一週間のなかで行ったのが、工房種水土花の是枝さんの出張ワークショップ。
この鮮やかな緑色の森は、伊平屋島での収穫時の様子。
島の人と一緒に山へ分け入り、ピーンと伸びたクバの新芽を探しているところです。
クバは島以外でも身近なもので、国道58号線で街路樹になっているものもありますし、ちょっとした山や御嶽にもよく生えています。
背が高くなりすぎると収穫が困難になったり、人が立ち入れないようになるので、伊平屋では昔は時期を決めて新芽を収穫し、本島へ出荷していたそうですよ。ウブルなど、道具作りに重宝したのでしょう。
ですが今回使用するのは新芽なので、サイズは15~25cmくらいです。
上の写真は、開ききった葉と、カゴサンプル。
新芽の感触はやわらかく、瑞々しく、ドレープ感が美しいのです。
この新芽を干して下準備をしてくださって、はるばる南風原まで。
講師の是枝さん、本当にありがとうございます。
伊平屋でのお話を聴きながら、コツを教わりながらワークショップスタート。
優しい手つきで破れないように。
湿らせた葉はとても繊細です。
参加者のみなさん
「懐かしくてやってみたくて。」
「うちで使えるものを自分で作れるようになりたくて。」
「かわいいなと思って!」
参加の理由はそれぞれ。
手を動かしながらおしゃべりしながら楽しいワークショップでした。
材料の採取、加工、実際の作りの工程、と民具作りもとても時間がかかります。
時間短縮が求められ、目先の効率性を良しとする傾向のある現代において、時間をかけて自然素材を加工して作る民具にはどんな価値が生まれるのか。なぜ、素敵だと感じるのだろう。近頃よく、そんなことを考えます。
ただ一つだけ確かなこととして「自然の土が育んだ植物が持つ美しさ」。
この一つがある気がしています。
手触りや、質感、うっすら見える葉脈、葉の広がり方や厚み、その造形。
生きているものが持つ、存在感そのもの。
人工素材からは生み出せない、有機的で複雑で美しい素地です。
そんな自然の産物に、じかに触り、押しなべたりねじったり結んだり。
人間の指先が感じ取るものは、感触だけではなくて、植物のエネルギーをちょっと分けてもらう、そんな感じがあります。
だからこそ民具に、惹きつけられるのかもしれません。
そうした思い出もともなって、民具の魅力なのでしょうね。
民具展はいったん終了しましたが、しばらく常設で店頭にならべているアイテムもあります。
近くへお越しの際は、ぜひご覧ください^^
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沖縄県島尻郡南風原町宮平652番地
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